春日高男は自らが犯した罪の記憶と、そこから派生した歪な関係性に追い詰められ、精神の均衡を完全に崩壊させていく。仲村佐和という毒であり薬でもある存在に支配された日常は、逃げ場のない焦燥感と情動の渦へと変貌した。過去の呪縛は消えることなく、むしろ内面から彼を食い尽くし、更なる混沌を呼び寄せる。剥き出しの自己嫌悪と抑えきれない衝動が混ざり合い、崩壊の淵で彼がようやく辿り着いた、あまりにも無防備で残酷な「自分」との対峙がここにある。
惡の華(The Flowers of Evil) 9巻 raw・ネタバレ
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内容紹介
惡の華 9巻 ネタバレ・あらすじ
⚠️ ネタバレを含みます。
かつて佐伯奈々子の体操着を盗んだという事実は、もはや些細な過去ではない。春日の中でその罪は肥大化し、自己の全人格を飲み込む怪物の正体となっている。本作では、彼が仲村と共に過ごしたあの狂気的な夏の残滓を振り払おうともがく姿が執拗に描かれる。春日は常識や道徳という外殻を捨て、己の内に巣食う「惡」を直視せざるを得ない。特に仲村が抱える底なしの孤独と、彼女が春日に求める歪な共犯関係は、もはや純粋な愛憎を超越し、二人の魂を深淵へと突き落とす。終盤、彼が過去の記憶を再構成し、自らの一部を切り離すようにして日常へ回帰しようとする様はあまりに痛ましい。しかし、それは決して救済ではない。自身の卑小さを認めること、それこそが彼にとっての真の地獄の始まりであり、変質した孤独の中で見上げる空の色彩さえもが、以前とは全く別の絶望に塗り替えられていることを告げているのだ。
感想・ネタバレ
仲村さんと春日の共犯関係、尊すぎて息が詰まる……。体操着の罪が肥大化して春日を食い尽くす描写、狂気とエロスの境界線が分からなくなって心臓が持ってかれた。過去の残滓を捨てて日常に戻ろうと足掻く姿、痛々しすぎて涙腺が壊れる。結局、自分の卑小さと向き合うことこそが地獄の始まりなんだと突きつけられ、絶望的な色彩に塗り替えられた世界に鳥肌が立つ。自己嫌悪の深淵を覗き込むようなこの感覚、まさに至高。このどうしようもない歪な愛の形、再読確定だし一生脳内で再生し続ける。
基本情報
| 著者 | 押見修造 |
|---|---|
| 出版社 | 講談社 |
| 発売日 | 2013-08-09 |
| 9巻 | 9巻 |
