すべてを焼き払い、零落した春日高男の心に刻まれたのは、狂気ではなく静かな救済だった。かつて彼を支配した『惡の華』という呪縛は、仲村佐和との凄惨な共犯関係を経て、残酷なまでに純化された。自らの醜悪さを直視した少年が、ようやく手にした日常と、逃れられない記憶の残滓。過去の清算は終わらない。佐伯奈々子という美しい記憶の終わりと、剥き出しの自分自身と対峙する、再生と崩壊の物語。魂を削り取られた先に、彼は真実の光を見出してしまう。